通販人気ナンバー1のイーモリジュブログ:190607
嫁が旅行先で転び、左足を捻挫した。
翌日から僕は会社を休み、
嫁の車椅子を押して通院することになった。
このことは、
函館にいる娘には内緒にすることにしていたが、
娘から外食の誘いがあったので、すべてバレてしまった。
次の日の8時、
娘が子猫を連れてやってきた。
僕は玄関で迎えたが、一瞬別人かと思った。
二十年近くバヌアツにおり、ごく最近帰国していた。
電話でのやりとりはしていたが、久しぶりに見る娘であった。
「元気だったか」僕がそう言うと、
「元気だわ。それよりも、ママはどう?」と、
娘は無遠慮に上がり込んできた。
嫁は何度か外遊し、娘とよく会っていた。
娘は、叔母の若い頃に似ていた。
色白のふっくらとした顔で愛嬌がよく、
子どもの僕とよく話し合う機会があり、
姉貴のような感覚を起こさせる人だった。
早速介護する娘の顔を、僕は何度も横目で見ていた。
「パパ、早く濡れタオル持ってきて。
それから、お昼が近いから、何か買ってきてよ」
僕は急に、召使いになった。
少々腹が立ったが、老いては子に従え…と考えれば、理解できた。
娘には、生活力がみなぎっていた。
簡単な昼食後、テレビを見ていたが、
娘が先程から僕を注視していることに気付いた。
「ねえパパ、白髪が増えたわね。横の方、耳の上のあたり、真っ白よ」
なんだ、そんなことかと思った。
そして娘を見て、娘もおばさんになっていた。
「今夜、外食しない?」
子猫を抱いた娘が、晴れやかな顔をした。
僕は子どものように、手を挙げて賛成した。
「パパ、ズボンぐらい、取り替えなさいよ」
嫁はブラシで、髪をとかしている。
その嫁の後ろに、叔母が立っていた。
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